「ホームページ、そろそろ直したいんだよね」
中小企業の経営者と話していると、この言葉が本当によく出てきます。ただ、その次に続く言葉が問題です。
「でも、何から手をつけていいか分からなくて」
気持ちは痛いほど分かります。サイトを開いてみても、どこが悪いのか自分では判断がつかない。デザインが古い気もする。でも全部作り直すほどの予算はない。結局、「いつかやろう」のまま半年、1年と過ぎていく。
この記事では、そんなあなたに「最初の一手」をお伝えします。全部を直す必要はありません。効果が出やすいところから、順番に手をつければいい。その優先順位を、具体的にお話しします。
「全部リニューアル」は、最後の手段
まず最初にお伝えしたいのは、ホームページ改善=リニューアルではない、ということです。
Web制作会社に「そろそろリニューアルしませんか?」と言われた経験、ありませんか? 見積もりを取ると50万、80万、場合によっては100万円を超える。「そんなに出せないよ」となって、結局何もしない。この繰り返しが、中小企業のホームページが放置される最大の原因です。
しかし、実際に必要なのはフルリニューアルではなく「部分改善」であることがほとんどです。私がこれまで相談を受けてきた中小企業のサイトの8割以上は、既存のサイトを活かしたまま、ピンポイントの修正で成果を出せる状態でした。
たとえるなら、家全体を建て替えなくても、玄関の照明を変えて、表札を見やすくして、ドアノブを磨くだけで印象はまるで変わる。ホームページも同じです。全ページを作り直す前に、やるべきことがあります。

最初に見直すべき3つのポイント
では、どこから手をつけるか。答えはシンプルです。訪問者が最初に目にする場所から直します。
① トップページの「最初の画面」
サイトを開いて、スクロールせずに見える範囲。これを「ファーストビュー」と呼びます。ここが勝負の分かれ目です。
多くの中小企業のサイトで見かけるのが、ファーストビューに「美しい風景写真」や「スタッフの集合写真」だけがドーンと表示されているパターン。写真はきれい。でも、訪問者がこのサイトで何を得られるのかがまったく伝わらない。
ファーストビューに必要なのは、たった一つ。「あ、ここは自分のための場所だ」と思わせる一言です。
たとえば税理士事務所なら、「確定申告でお困りの個人事業主の方へ」。整体院なら、「病院で原因不明と言われた腰痛、あきらめていませんか?」。この一言があるかないかで、訪問者がスクロールするかどうかが決まります。
② 問い合わせへの導線
ファーストビューを見直したら、次はサイト全体の「出口」を整えます。
問い合わせフォーム、電話番号、LINEの友だち追加。あなたのサイトには、訪問者が「次に取るべきアクション」が明確に示されていますか?
よくある失敗は、問い合わせボタンがページの一番下にしかないこと。訪問者はページの途中で「ここに頼もうかな」と思う瞬間があります。その瞬間にボタンが目の前になければ、気持ちは冷めてしまう。ページの上部、中部、下部。最低でも3か所にアクションボタンを配置してください。
ボタンの文言も重要です。「お問い合わせ」より「まずは無料で相談する」の方が、心理的なハードルがぐっと下がります。たった数文字の違いが、クリック率を大きく変えるのです。
③ スマートフォンでの見え方
今、あなたのサイトにアクセスしている人の6割から7割はスマートフォンからです。にもかかわらず、多くの中小企業のサイトはパソコン画面を基準に作られたまま放置されています。
試しに、今すぐご自身のスマートフォンで自社サイトを開いてみてください。文字が小さすぎないか。ボタンが指で押しにくい場所にないか。電話番号をタップしたらそのまま発信できるか。
スマホで使いにくいサイトは、それだけで大量の見込み客を失っています。しかもこの改善は、大規模なリニューアルをしなくてもCSS(デザインの設定ファイル)の調整だけで対応できることが多い。費用対効果が非常に高い改善ポイントです。
「全部やらなきゃ」と思わないこと
ここまで3つのポイントをお伝えしましたが、一度に全部やろうとしなくて大丈夫です。
大事なのは「どこが一番のボトルネックか」を見極めることです。アクセスはあるのに問い合わせが来ないなら、導線の問題。そもそもアクセスが少ないなら、検索対策の問題。サイトに来ても3秒で閉じられているなら、ファーストビューの問題。
症状によって処方箋は変わります。だからこそ、「とりあえずリニューアル」ではなく、まず現状を数字で把握することが最初の一歩なのです。
Googleアナリティクスを導入していない方は、まずそこから始めてください。無料で導入でき、設定も難しくありません。すでに導入済みなら、直帰率と離脱率を確認してください。どのページで人が帰っているのか。どのページが一番読まれているのか。数字があれば、「なんとなく直したい」が「ここを直すべき」に変わります。
小さな改善の積み重ねが、大きな成果を生む
ホームページの改善は、一発逆転の魔法ではありません。ファーストビューのコピーを変える。ボタンの位置を調整する。スマホでの表示を整える。一つひとつは地味な作業です。
しかし、この地味な改善を正しい順番で積み重ねたサイトは、確実に反応が変わります。100万円かけてフルリニューアルするよりも、5万円の部分改善を3回重ねた方が、結果が出るケースは少なくありません。
しかも部分改善には、もう一つ大きなメリットがあります。「どの改善が効果を生んだか」を検証できるということ。一度に全部変えてしまうと、何が良かったのかが分かりません。一つずつ変えれば、次に何をすべきかが見えてくる。これが、改善のサイクルが回り始める瞬間です。
「何から始めればいいか分からない」——その状態から一歩踏み出すだけで、あなたのサイトは変わり始めます。


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